こちらは懐素の草書千字文です。
字体の細かい決まり事にとらわれず自由に書く懐素の草書は「狂草」とも言われます。
とてものびやかで自由な勢いを感じる草書ですが、ただやみくもに思うがまま書いていても美しい書とはなりえません。
のびやかなものを臨書するときはその字形をきちんと理解していないとその勢いを臨書することはできません。
懐素の草書が美しいのは、懐素自身が身に着けた書の風格が備わっているからでしょう。
確かな筆力の上に成り立つ「狂草」なのだと思います。
有名な歌舞伎役者さんが「『型』をしっかり持ていなければ『型破り』にはなれない」と言っていましたが、
書道にも通じる言葉だと思います。
勢いに乗った狂草を臨書するのは難しいですが、本来の字形の理解を深め臨書を重ねて書法を身に着けていきたいものです。